2024.8.19
【外壁軽量セメントモルタル】
季節は移ろい、秋の訪れを感じる季節になって参りました。
夏の暑さが一段落し、気温的に建築業界では作業の効率が上がる良い季節なのですが、
突然の雨等天気の変化が激しく、外装工事等には悩ましい季節でもある状況です。
今日は、外壁軽量セメントモルタルについて少しお話をさせていただきます・・・。
『木造モルタル造』と言う表現を聞いた事があるかと思います。
弊社では、木造住宅の外壁に主に用いる外装材なのですが、
モルタルの歴史から少しお話させていただきます。
モルタルはセメント・砂・水を混ぜて作られる素材で、
古くヨーロッパでレンガ造りの建物を石造建築に見せるため、
表面に塗られるようになったのが始まりと言われています。
モルタルが日本へ本格的にもたらされたのは、
明治になって洋風建築が取り入れられるようになってからの事。
普及の追い風となったのが、モルタルの特徴である高い耐火性でした。
日本では木造建築が主だった為、
一度火災が起こるとあっという間に燃え広がってしまいました。
特に1923年の関東大震災で木造建築に甚大な被害が発生したことから、
改めてモルタル外壁が見直される事になったそうです。
そして、戦後の1950年に建築基準法が制定され、
モルタル外壁が急速に普及していきます。
こうして1990年ごろまでは、日本の住宅における外壁材の主流として、
幅広く取り入れられていました。
しかしながら、モルタルは現場で左官職人が経験上の配合で作っていた為、
品質が安定せず、クラック(ひび割れ)が入るというイメージが定着してしまい、
昨今では、ひび割れが無く施工しやすいサイディングにシェアを奪われているのが現状です。
弊社の外壁材として使用する《既調合軽量セメントモルタル》は、
品質管理された工場で一定の配合を維持し製造することにより、
安定した品質確保した材料を現場で使用出来る事と、
高い引張り弾性率を有するグラスファイバーネットをモルタル表面に伏せ込む事で、
乾燥収縮によりモルタルに生ずる引張り力を負担し、
ひび割れを抑制して上記のデメリットを軽減しております。
又、曲線やシャープな外壁端部等、自由なデザインが造作可能な事と、
継ぎ目の無いシームレスな外壁面を造る事が可能で、
デザイン性の自由度が増すという最大のメリットがございます。
そんな外壁軽量モルタルも、左官業界の職人不足が深刻化しています。
技術の継承が途絶え、高齢化が進む中で、
若い世代の左官職人の数が激減しているのが現状です。
このままでは、伝統的な左官技術が失われてしまう可能性もあります。
左官の技術は、建物の美しさと耐久性をもたらします。
そのため、左官技術はこれからももっと必要とされていくべき存在だと私は考えます。
KENT HOUSEは建築に携わる企業として、
一般消費者に、弊社のデザイン・建築する建物のご提案を通し、
外壁軽量モルタルの良さや、左官技術の素晴らしさを発信し、
更なる需要を作り、左官職人の活躍の場を増やしていく事で、
微力ながら、左官技術を後世に残していけるお手伝いができればと考えております。
KENT HOUSE 増田 佳