2020.1.30
南フランス 研修レポート ~前編~
建築・デザインを学ぶため、1月末の6日間、私たちは海外研修へ向かいました。
今回訪れたのは地中海に面する南フランスのいくつかの地域と、隣接するモナコ公国、
さらには初となる長時間トランジットでのイギリス・ロンドンの三ヵ国という大ボリュームツアーでした。
今回はその中より・・・フランスの3つの建築についてご紹介いたします。
MuCEM(ミュセム/ヨーロッパ地中海文明博物館)/2013
Rudy Ricciotti (リュディ・リチオッティ)
マルセイユ、フランス
張り巡らされたメッシュが特徴的なファサード。
建物外壁とメッシュの間には、屋上テラスへと向かう屋外通路の層が配置され、
少しずつスロープで登りながら、街のシークエンスや地中海のきらびやかな光をメッシュの間から楽しむことができます。
(あいにくの天気・・・)
近隣に位置する旧市街と空中回廊でつながり、街に開かれたスペースとなっています。
超高強度繊維補強コンクリートでつくられたメッシュは、近づいて初めてコンクリートと認知できるほど軽やかな印象です。
Unité d'habitation (ユニテ・ダビタシオン)/1946-52
Le Corbusier(ル・コルビュジェ)
マルセイユ、フランス
戦後のマルセイユでは、ナチス・ドイツに一面焼け野原にされてしまい住民の住む場所が足りなくなっていました。
いくつかの街の復興プロジェクトに参画していたコルビュジェの元へ、
国から大規模な集合住宅の依頼があり、このプロジェクトがスタートしました。
法を無視してもよいので自由に設計してほしいという国からの要望を受けて、
彼が抱いていた展望を反映させ、単なるアパルトマンではなく、
その中で生活の全てが営める大型客船のような 「街」 をつくりだしました。
太くたくましいコンクリートの脚で支えられたピロティーは建物から大地を開放し、
建物を迂回することなく裏側へ通り抜けることができます。
また337戸の住戸のほか、中層階には商店やホテル、
屋上には幼稚園・プール・運動施設といった共用施設が設けられました。
もちろん、世界文化遺産となった今でも現役で機能しています。
暗い共用廊下を通りビビットカラーの玄関ドアをくぐると、
住戸内は東と西に設けられた窓からの採光で満ち明るい空間が広がります。
いたるところにシャルロット・ペリアンデザインの特注家具が組み込まれ、
コンパクトながらも機能的な空間がしつらえられていました。
数あるユニテの中でも、最初に作られたのがマルセイユのユニテ。
コルビュジェの描いた輝く都市への展望を覗き見ることができた喜びと、
今でも尚、住まいとプログラムの両機能を果たし使われる生きた建築へ出会えたことは幸せな時間でした。
Abbaye du Thoronet(ル・トロネ修道院)/1160-75…1200
ル・トロネ、フランス
フランスで思い出されるのは、ノートルダム大聖堂にみられるバラ窓・ステンドグラス・彫刻など、
華やかな特徴をもつゴシック建築かもしれません。
南フランス、プロヴァンスの人里離れた谷間にひっそりとある3つあるロマネスク様式のシトー会修道院。
そのひとつであるル・トロネ修道院は、キリスト教の修道士の為の施設です。
人々が訪れる場ではなく、修道士が祈りをささげるための場であるため、
教会堂西正面中央には出入口がなく、右に小さな出入口があるのみ。
極端なまでに装飾が排除された空間は、建築の根源を考えさせられるほど素朴です。
厚い壁に閉ざされた空間は暗く静寂で、小さな開口部よりまっすぐにささる光に照らされながら、
コルビュジェをはじめ、世界中の建築家がこの建物に感銘を受け、思いを馳せたように、
自分の中に強烈な印象を残す建築体験となりました。
最後に集合写真をパチリ!
・・・さて以上でレポート前編は終了です。
研修期間中は大変ご迷惑をおかけいたしました。
今回の研修で吸収してきたことを皆様へ還元できるように社員一同頑張ります。
次回はこのブログでお知らせできなかった部分、そして別の切り口からお届けしたいと思います!
KENT HOSUE 三本木